第47巻第3号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
肺癌化学療法中に発症したニューモシスチス肺炎の3例
齋木 啓子1, 望月 吉郎1, 中原 保冶1, 河村 哲治1, 佐々木 信1, 西尾 智尋21独立行政法人国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科, 2滋賀医科大学呼吸器内科
背景.肺癌化学療法中にびまん性陰影が出現することがあり,感染症なのか薬剤アレルギーなのか鑑別に苦慮することがある.症例.我々は肺癌化学療法中に発症したニューモシスチス肺炎を3例経験した.発症時年齢は73歳,72歳,55歳で全例男性であった.ステロイドの長期投与は1例であった.2例は化学療法のみで発症しており,化学療法もニューモシスチス肺炎発症の危険因子と思われた.3例とも発熱を主訴とし,呼吸不全を呈していたのは1例のみであった.画像的には全例淡い濃度上昇をびまん性に認めた.気管支肺胞洗浄液BALF(bronchoalveolar lavage fluid)か喀痰のいずれかでニューモシスチスPCR(polymerase chain reaction)が全例陽性であり,β-D-グルカンの上昇も認めた.スルファメトキサゾール・トリメトプリムST合剤(sulfamethoxazole-trimethoprim)の投与で3例ともに軽快している.結論.肺癌化療中にびまん性スリガラス様陰影が出現した場合,ニューモシスチス肺炎を念頭に置く必要がある.
索引用語:ニューモシスチス肺炎, 肺癌, 化学療法, びまん性スリガラス様陰影
受付日:2006年9月12日
受理日:2007年4月16日
肺癌 47 (3):273─276,2007