タイトル
第47巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (315K)
Article in Japanese

─ 原著 ─

胃癌術後の孤立性肺転移切除例の検討

坂口 幸治1, 山本 学1, 堀尾 裕俊1
1東京都立駒込病院呼吸器外科

目的.胃癌術後の胸部転移は,癌性リンパ管症や癌性胸膜炎で発症することが多く予後不良である.孤立性肺転移は比較的まれであるがその臨床像は知られていない.今回,当院で胃癌切除術を施行された症例を対象に,胃癌の孤立性肺転移切除術の意義を検討した.対象と方法.対象は1986年7月から2006年6月までに当院で行われた胃癌手術3219例中,術後の孤立性肺転移7例である.それぞれの臨床パラメーター,予後について検討した.結果.性別は男性4例,女性3例.胃癌の肉眼分類は7例中5例が2型病変.病理病期はIBが4例あった.胃癌術式は胃全摘術3例,幽門側胃切除術2例,残胃全摘術2例.肺転移出現時平均年齢70.1±10.2(57~84)歳.胃癌手術から肺転移出現までの期間は35±22(0~60)ヵ月.術前より肺転移が疑われた2例では区域切除が施行されているが,原発性肺癌と診断された5例中4例においては葉切除術が施行されていた.肺転移切除後の5年生存率は42.9%であった.結論.胃癌術後の孤立性肺転移は,術前より転移であることを診断するのは困難である.しかし,癌性リンパ管症や癌性胸膜炎や胃癌多発肺転移と比較して予後良好なため,胃癌術後に孤立性肺病変を認めた場合,積極的に診断と治療のための肺切除が望まれる.
索引用語:胃癌, 孤立性, 肺転移, 外科切除

受付日:2007年2月21日
受理日:2007年5月24日

肺癌 47 (4):323─326,2007

ページの先頭へ