タイトル
第47巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

CTにて術前11年間の経過を観察できた肺腺癌の1例

吉岡 孝1, 張田 信吾2, 久山 彰一2, 野上 尚之2
公立学校共済組合中国中央病院 1外科, 2内科

背景.長期の経過を有する肺癌の報告は散見されるが,長期にわたりCTで経過観察された症例はまれである.症例.初診時55歳の男性.1990年,胸部CTにて右肺S1bに全体がすりガラス状陰影を呈する病変を指摘された.数ヶ月ごとにCTでの追跡が行われ,陰影は漸次増大した.3年5ヶ月間追跡された後,CT検査は中断した.2001年,胸部X線にて右上肺野の陰影を再び指摘された.CTでは右肺上葉に,以前の病変が増大したと考えられる径4 cmの陰影と,径2.5 cmの新しい陰影を認めた.両病変とも辺縁にすりガラス状陰影,中心部に充実性陰影を有していた.CTガイド下肺針生検にて腺癌の診断を得て,右肺上葉切除術,縦隔リンパ節郭清を施行した.いずれの病変も,辺縁部では腫瘍細胞が肺胞置換性に増殖し,中心部では浸潤性に増殖を示す高分化腺癌であった.結論.異型腺腫様過形成や野口分類type Aの細気管支肺胞上皮癌から浸潤癌への進展が,CT画像上で示唆される症例と考えられた.
索引用語:肺腺癌, 細気管支肺胞上皮癌, すりガラス状陰影

受付日:2006年2月15日
受理日:2007年6月12日

肺癌 47 (4):343─346,2007

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