タイトル
第47巻第6号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (402K)
Article in Japanese

─ 原著 ─

非小細胞肺癌患者に対するgefitinib再投与例の臨床的検討

草間 由紀子1, 小泉 知展1, 伊東 理子1, 神田 慎太郎1, 山本 洋1, 久保 恵嗣1, 野村 洋2, 江田 清一郎3, 早坂 宗治4, 五味 英一5
1信州大学医学部内科学第一講座, 2市立大町総合病院内科, 3松本協立病院呼吸器内科, 4独立行政法人国立病院機構中信松本病院呼吸器内科, 5長野県肺癌治療研究会

背景.Gefitinibは肺癌に対する分子標的治療薬で,有用性が高い患者群が明らかになってきている.Gefitinib有効例に対する再投与の臨床的有用性や意義は不明である.目的・方法.今回,当科および長野県内の関連病院においてgefitinibの再投与を試みた症例についてretrospectiveにその臨床的解析を行った.対象.Gefitinib初回投与が有効と判断され,その耐性獲得後に他の化学療法が施行され,その後gefitinib再投与が行われた症例を対象とした.結果.症例は49歳から77歳までの女性9例で全例組織型は腺癌であった.病期はIIIA~IV期,performance status(PS)は0~1であった.喫煙歴は1例(Brinkmann index:B. I. 100)に認められた.Gefitinibの初回投与は1st~4th lineで施行され,3rd~6th lineでgefitinibが再投与された.再投与時のpartial response(PR)は9例中3例(奏効率33.3%;95%信頼区間7.5~70.1%)でいずれも初回投与時PRが得られた症例で,再投与までの休薬期間は,6.5~11ヶ月であった.全生存期間は13.5~50ヶ月,生存期間中央値は24.6ヶ月で再投与後の生存期間中央値は7.4ヶ月であった.結論.Gefitinib初回治療で特にPRが得られた症例においては,一定の期間後のgefitinibの再投与は治療選択肢のひとつになると考えられる.
索引用語:Gefitinib, 耐性, 非小細胞肺癌, 再投与

受付日:2007年3月22日
受理日:2007年7月3日

肺癌 47 (6):689─694,2007

ページの先頭へ