タイトル
第47巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

放射線肺臓炎の発症予測に関する平均肺線量計測の有用性

畑山 佳臣1, 青木 昌彦1, 近藤 英宏1, 川口 英夫1, 阿部 由直1
1弘前大学医学部放射線科

目的.放射線肺臓炎は放射線治療における重要な有害事象である.肺臓炎の発症を予測する因子として,線量容積ヒストグラム(DVH)より得られるV20(20 Gy以上照射される肺容積の全肺容積に対する割合),正常組織障害確率(NTCP)などの有用性が多く報告されている.これらの指標と異なり,加法則に従い,術式変更後も算出の容易な平均肺線量(MLD)の有用性を検討した.対象と方法.2001年10月から2005年12月の間に40 Gy以上の放射線治療を行った非小細胞肺癌104例.DVHからMLDの他,V20,NTCPを算出し,これらの指標と肺臓炎発症との関係を解析した.結果.肺臓炎はGrade 0~1が70例,Grade 2以上が34例であった.MLDなど各指標の平均値はGrade 2以上の肺臓炎発症例で有意に高く,単変量,多変量解析においても肺臓炎発症への関与が示唆された.MLDが13 Gy以下では重篤な肺臓炎が発症しなかった.結論.MLDは照射術式を途中変更することの多い日本の放射線治療の状況では,肺臓炎の発症予測に簡便で有用である.
索引用語:肺癌, 放射線肺臓炎, 線量容積ヒストグラム(DVH), 平均肺線量(MLD)

受付日:2006年12月6日
受理日:2007年7月19日

肺癌 47 (6):695─700,2007

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