タイトル
第47巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

WHO分類に基づく胸腺腫切除例の臨床的検討

川野 亮二1, 田川 公平1, 横田 俊也1, 池田 晋悟1, 羽田 圓城1, 藤井 晶子2, 森 正也2
三井記念病院 1呼吸器センター外科, 2病理部

目的.胸腺腫の治療におけるWHO分類の有用性について検討した.対象と結果.1990~2005年までに胸腺腫で切除を受けた51例(男性30例,女性21例)で,WHO分類別では,Type A-1例(2.0%), AB-18例(35.3%), B1-16例(31.4%), B2-11例(21.6%), B3-5例(9.8%)であった.なお,Type Cは本検討から除外した.正岡病期分類とWHO分類との関係は,病期I/II期ではType A/AB/B1群が81.1%を占めたのに対し,病期III/IV期ではType B2/B3群が64.3%を占めた.全症例の5年および10年生存率は,それぞれ90.8%,81.4%で,組織分類別にはType A-100%,100%,AB-100%,90%,B1-88.9%,88.9%,B2-83.3%,41.7%であり,Type B3は4年生存率で66.7%であった.Type A/AB/B1群とType B2/B3群の5年生存率は順に95.7%,77.4%,10年生存率は89.7%,38.7%となり,有意差はなかったが,Type B2/B3群が予後不良な傾向を認めた.完全切除47例中6例(12.8%)に再発を認めた.再発した6例はType A/AB/B1群34例中の1例(2.9%)に対し,Type B2/B3群では13例中5例(38.5%)と高かった.また,病期I/II期に限ると,Type A/AB/B1群とType B2/B3群間に予後に差はなかったが,病期III/IV期では,Type B2/B3群の予後がType A/AB/B1群よりも有意に不良であった(p=0.03).結論.WHO分類をType A/AB/B1とType B2/B3の2群に分ける方法は,胸腺腫切除例の再発および予後をみる上で有用であり,正岡分類の病期III/IV期においてWHO分類を行う意義が大きいと考えられた.
索引用語:胸腺腫, 縦隔腫瘍, WHO分類, 正岡分類

受付日:2007年6月8日
受理日:2007年8月24日

肺癌 47 (6):717─721,2007

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