タイトル
第47巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

塩酸アムルビシン投与で多発性骨転移の著しい改善を認めた再発性肺小細胞肺癌の1例

中村 孝人1, 小川 修平1, 水野 陽花1, 三浦 幸子2, 本津 茂人3, 木村 弘3
1星ヶ丘厚生年金病院呼吸器内科, 奈良県立医科大学 2放射線科, 3第二内科

背景.小細胞肺癌は化学療法と放射線療法に高い感受性を示し,初回治療においてはほぼ標準的治療が確立しているが,多くの場合は再発をきたす.その予後向上のためには初回治療のみならず,再発例に対する治療効果の改善が求められる.症例.74歳男性.肺小細胞癌(進展型)に対してシスプラチン・イリノテカン療法4コース施行後,すべての病変が消失した.しかし12ヵ月後,左大腿部痛が出現し,骨シンチで多発性骨転移を認めた.疼痛による歩行困難,経口摂取の低下があり,performance status 3の状態であった.また腎機能低下も認められ,sensitive relapse症例であったが,セカンドライン治療として塩酸アムルビシンによる単剤加療を施行した.投与後速やかに左大腿部痛は消失し,骨シンチにおいても著しい改善を認め,塩酸アムルビシン治療4コース終了後15ヵ月後も再発の兆候を認めていない.結論.現在,第II相臨床試験で塩酸アムルビシンがセカンドライン治療薬として有用であるとの報告がある.その報告も含め,検索した範囲では塩酸アムルビシン単剤投与が多発性骨転移に著効し,かつ長期の効果持続期間を得たとの報告はなく,興味深い症例と考えた.
索引用語:再発性肺小細胞癌, 多発骨転移, 塩酸アムルビシン

受付日:2007年6月4日
受理日:2007年8月9日

肺癌 47 (6):729─733,2007

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