タイトル
第47巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第22回肺癌集検セミナー ─

繰り返し低線量CT検診からわかること

関 順彦1, 江口 研二1, 金子 昌弘2, 大松 広伸3, 柿沼 龍太郎4, 松井 英介5, 楠本 昌彦6, 土田 敬明2, 西山 祥行7, 森山 紀之4
1東海大学医学部腫瘍内科, 2国立がんセンター中央病院内視鏡部, 3国立がんセンター東病院呼吸器科, 4国立がんセンター中央病院がん予防・検診研究センター, 5東京から肺がんをなくす会, 6国立がんセンター中央病院放射線診断部, 7社会保険中央病院呼吸器外科

肺癌CT検診の有効性は,肺癌死亡率の減少が証明されて初めて効果があると判断されるが,現在のところランダム化比較試験に基づく結果報告はなされていないため,肺癌死亡率の減少は証明されていない.2009年以降には現行のランダム化比較試験の結果が発表される予定であるが,それまでは症例研究の結果に基づいて繰り返しCT検診の有効性を推測せざるを得ない.このような中,「東京から肺がんをなくす会」による症例研究で初めて肺癌死亡率の減少を間接的に示唆するステージシフトの存在が示された.また,この研究結果からは,現行のランダム化比較試験の試験デザインが肺癌死亡率の減少を証明するための十分な検出力をもたない可能性についても示唆された.従って,ランダム化比較試験の結果がnegativeに終わってしまった場合でも,繰り返しCT検診が即有効でないと単純に結論するのではなく,試験デザインそのものを再検討するべき必要性についても,今から認識しておかなければならないであろう.
索引用語:肺癌, 繰り返しCT検診, ランダム化比較試験, 症例試験, ステージシフト

肺癌 47 (6):785─789,2007

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