タイトル
第47巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

2次元電気泳動法により検出された非小細胞肺癌関連蛋白質の免疫組織化学染色による検証

小鹿 雅和1,2, 平野 隆1, 松林 純2, 果 然1, ごん 雲波1, 川村 猛3, 片場 寛明1, 大平 達夫1, 向井 清2, 加藤 治文1
東京医科大学 1外科学第一講座, 2病理診断学講座, 3臨床プロテオームセンター

目的.原発性肺癌の生物学的性格を反映するバイオマーカーの探索を目的にEttan-DIGE法による肺癌組織型関連蛋白の検出・同定を試みた.方法.組織型ごとに4~8症例の組織分化が中等度~高分化症例の2次元電気泳動(2-DE)用サンプルを混合し,組織型標準サンプルとして蛍光標識後に2-DEを施行,各組織型で高発現するスポットを検出した.各スポットは質量分析法で蛋白質分子を同定,検証は肺癌腫瘍組織の免疫組織化学染色によって行った.結果.19種類の扁平上皮癌関連蛋白質(eSq),16種類の腺癌関連蛋白質(eAd),17種類の神経内分泌癌関連蛋白質(eNE)を検出,このうち6種類のeSq,8種類のeAdを同定した.同定蛋白質の14種類のうち8種類がサイトケラチン(CK)(eSq:CK5,CK6A,CK6C,CK6D,CK17,eAd:CK8,CK18,CK19)であった.その後の免疫組織染色による検証で各組織型間でのCKの発現に特徴があることを示すことができた.考察.腫瘍関連蛋白質の発現量に基づいて肺癌を評価することで,腫瘍の生物学的性格を反映させることが可能となり,治療法選択に応用できると考える.
索引用語:プロテオミクス, サイトケラチン, 2次元電気泳動法, 扁平上皮癌関連蛋白質, 腺癌関連蛋白質

受付日:2007年8月27日
受理日:2007年10月16日

肺癌 47 (7):861─869,2007

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