タイトル
第47巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺癌肉腫の2例

阪本 仁1, 小阪 真二1, 原 克之2, 土屋 恭子1
島根県立中央病院 1呼吸器外科, 2呼吸器科

背景.肺癌肉腫は癌腫と真の肉腫成分との混在からなる稀な悪性腫瘍である.症例1.夜間咳嗽を主訴とした67歳男性.胸部CTで右上葉に5.5×2.8×2.3 cmの腫瘍を認めた.気管支検査で右B1入口部に赤色のポリープ状の腫瘍を認めた.右肺上葉切除,リンパ節郭清(ND2a)を行い,肺癌肉腫,pT2N0M0,IB期と診断.術後200日目の頭部CTで脳転移を認め,摘出術を施行.症例2.胸部異常陰影を主訴とした74歳男性.大動脈瘤人工血管置換術後の経過観察中,胸部CTで右下後縦隔から右胸腔内に位置する6.2×4.4×3.7 cmの腫瘍,縦隔リンパ節腫脹,両肺野に多発結節影を認め,骨シンチで多発骨転移を認めた.胸腔鏡下生検で肺癌肉腫と病理診断し,cT2N2M1(PUL,OSS),IV期と診断.シスプラチン,ビノレルビンによる化学療法を施行し原発巣の縮小を認めたが,癌性髄膜炎にてCT発見より約6ヵ月後に死亡.結論.肺癌肉腫の外科的切除による長期生存例の報告も認めるが,肺癌肉腫全体の予後は不良とされる.肺癌肉腫に対する手術適応と抗癌剤治療については,さらなる症例の集積による検討が必要である.
索引用語:肺癌肉腫, 外科的切除, 化学療法

受付日:2007年6月4日
受理日:2007年9月19日

肺癌 47 (7):877─882,2007

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