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第47巻第7号目次 Japanese/English

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─ 第21回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

肺扁平上皮癌の組織発生と諸問題

武島 幸男1, 井内 康輝1, 風呂中 修2, 西阪 隆3
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 1病理学, 2分子内科学, 3県立広島病院臨床研究検査科

目的.肺扁平上皮癌の組織発生を中枢型および末梢型扁平上皮癌のそれぞれについて,種々の遺伝子異常や蛋白発現の異常の面から検討する.方法.中枢型扁平上皮癌の多段階発癌に関するモデルとして,中枢気道の種々の過形成,化生,上皮内癌を蒐集し,これらの病変のp53遺伝子を中心とする異常を明らかにする.また,末梢型扁平上皮癌については,p14,p15,p16遺伝子のメチル化やp16の発現,また,Maspin,p63,TTF-1などの分化抗原の発現を検討した.結果.中枢気道の前がん性病変として指摘されている異形成,上皮内癌では,その異型度が増すにつれ遺伝子異常の蓄積がみられた.また,中枢型と末梢型の扁平上皮癌を比較した検討では,中枢型で遺伝子の異常なメチル化の頻度が高い傾向があった.末梢型ではp16遺伝子のメチル化と喫煙指数に関連がみられた.さらに,末梢型では通常発現のみられないTTF-1の発現を示す例が少数ながら存在した.結語.異形成,中枢型・末梢型扁平上皮癌のそれぞれの遺伝子異常や蛋白発現のプロファイルの差異の検討は,それらの組織発生を推論する上で有用である可能性がある.
索引用語:肺癌, 扁平上皮癌, 中枢型, 末梢型, 組織発生

肺癌 47 (7):927─933,2007

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