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第47巻第7号目次 Japanese/English

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─ 第21回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

中皮腫の病理診断の精度向上―現状と将来―

井内 康輝1
1広島大学大学院医歯薬学総合研究科病理学

本邦では近年,1960~1990年代における膨大な量のアスベストの使用の結果として,中皮腫の増加が著しい.従来からの労災補償に加えて,石綿救済新法の成立によって,労災補償の対象とならない中皮腫患者の補償・救済が広く行われるようになったが,これらの制度においては中皮腫の診断が補償・救済の是非を決めることになり,特に病理診断の精度向上が求められている.中皮腫が従来まれな腫瘍であることに加え,その組織像が多彩であることから,現状の中皮腫の病理診断の精度には問題があるといわざるをえない.中皮細胞の陽性マーカー,陰性マーカーとなる多種類の抗体を用いた免疫組織化学的染色が大変有用であることが判明してきたので,今後は中皮腫の組織型別に適切な抗体の選択をして診断を行うことが奨められる.
索引用語:中皮腫, アスベスト曝露, 補償・救済, 免疫組織化学的染色, 抗体

肺癌 47 (7):945─950,2007

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