タイトル
第48巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

肺癌の診断・治療における細胞診の有用性

宝来 威1
1癌研究会有明病院呼吸器内科

肺は組織診が困難な臓器で,細胞診が最終診断となる場合が多い.細胞診では治療方針を決定するための組織型の推定も可能である.呼吸器細胞診には喀痰細胞診と,気管支鏡下やX線透視下での病巣の擦過法あるいは穿刺法があり,これらの細胞採取手技を病巣の局在にあわせて適切に選択する.細胞診の診断成績は,検体採取法,組織型,病巣の局在や進行度により異なるが,陽性率は約90%で,組織型との一致率も高い.胸部X線写真無所見の中心型早期癌では喀痰細胞診が発見手段である.肺癌細胞の形態と手術予後や抗癌剤の効果との関連も研究され,あるいは分子生物学的検査の材料として細胞診検体の利用も可能であり,細胞診の臨床へのフィードバックも期待される.
索引用語:肺癌, 細胞診, 中心型早期癌, 細胞判定基準, 細胞の悪性度

肺癌 48 (1):5─10,2008

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