タイトル
第48巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

非小細胞肺癌に対する術前化学療法施行症例の治療効果判定における腫瘍マーカー(CEA)の意義

石黒 太志1, 森 正一1, 片山 達也1, 奥田 勝裕1, 坂倉 範昭1, 福井 高幸1, 波戸岡 俊三1, 篠田 雅幸1, 光冨 徹哉1
1愛知県がんセンター中央病院胸部外科

目的.非小細胞癌の治療効果判定における血清carcinoembryonic antigen(CEA)濃度の変化について評価し,CEA測定の意義を明確にする.対象と方法.1995年1月~2005年12月まで術前CEAが高値(5 ng/ml以上)を示し,かつ術前化学療法後に手術を施行し病理組織学的効果判定が可能であった24症例を対象とした.CEA濃度変化とResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST),WHO基準による治療効果判定,組織学的効果判定を比較し,その問題点について後ろ向きに検討した.結果.それぞれ奏効群と非奏効群に分けて治療前後のCEA値を比較すると,RECIST,WHO基準とも奏効群で有意にCEA値が低下したが(P=0.004,P=0.008),非奏効群では有意差がなかった.CEA値と組織学的治療効果判定(Ef)との比較では,奏効群(Ef 2~3)で有意にCEA値が低下したが(P=0.008),非奏効群(Ef 0~1)では有意差がなかった.ROC解析でCEAのカットオフを検討すると60%減少が最も適切という結果で,その場合のRECISTに対する感度は82%,特異度は69%であった.結論.非小細胞癌においてRECIST,WHO基準による測定が困難な場合に,CEAは治療効果判定における代理マーカーとして有用である.
索引用語:効果判定, CEA, RECIST

受付日:2007年8月9日
受理日:2007年11月17日

肺癌 48 (1):26─32,2008

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