第48巻第1号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
悪性胸膜中皮腫に対する局所的インターフェロン療法
小林 良樹1, 安場 広高1, 北 英夫1, 山田 徹2, 千葉 渉2, 人見 滋樹2高槻赤十字病院 1呼吸器・アレルギー内科, 2呼吸器外科
背景.悪性胸膜中皮腫(MPM)は,難治性で予後不良の疾患である.さらに胸腔内局所進行例が多く,胸水や腫瘍増殖による呼吸不全症状が臨床上問題となる.症例.主に胸水コントロールや胸壁腫瘍の縮小を目的としてインターフェロン(IFN)局所療法を試みたMPMの4症例.IFN-α投与を行った3症例(症例1~3)とIFN-β投与を行った1症例(症例4).症例1~3は3例ともIFN-α胸腔内投与により一時的に胸水コントロールが得られた.生存期間は,それぞれ28ヶ月,40ヶ月,43ヶ月であった.症例4では,化学療法(ジェムシタビン,シスプラチン)併用下でIFN-β胸腔内投与および腫瘍内投与を行い胸水減少と腫瘍縮小効果が得られた.副作用としては,化学療法を併用した症例4以外ではグレード1までの発熱のみがみられた.結論.MPMに対する局所的IFN療法は副作用も許容範囲内であり,局所制御に有用であった.
索引用語:インターフェロン, 悪性胸膜中皮腫, 局所療法
受付日:2007年9月7日
受理日:2007年11月27日
肺癌 48 (1):39─42,2008