タイトル
第48巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

FDG-PETにて異常集積を認めた,肺内malignant solitary fibrous tumor(MSFT)の1例

青島 宏枝1, 小山 邦広1, 池田 豊秀1, 村杉 雅秀1, 大貫 恭正1, 澤田 達男2
東京女子医科大学 1第1外科, 2第1病理

背景.孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor,SFT)は胸膜発生が多く肺内のSFTは稀である.今回,FDG positron emission tomography(FDG-PET)にて異常集積を認めた肺内の悪性孤立性線維性腫瘍(malignant solitary fibrous tumor,MSFT)の症例を経験したので報告する.症例.77歳,男性.COPDの経過観察中に胸部異常陰影を指摘され,腫瘤陰影の増大のため当科紹介となった.胸部CT上,右S4に境界明瞭な腫瘍を認めた.FDG-PETでは,右S4の腫瘍に一致してmaximal standardized uptake value(SUV-max)が7.35の集積を認めた.CT下生検では間葉系の組織であり診断に至らず,FDG-PETの所見より悪性腫瘍を疑い,胸腔鏡下右中葉切除術を施行した.病理組織学的所見は,紡錘形の異型細胞の増殖よりなり,細胞密度が高く,核の多形性があり10高倍視野に4個以上の核分裂像を認めた.免疫染色ではCD34が一部に陽性,ビメンチン陽性,サイトケラチンが陰性でありMSFTと診断した.結論.PETで異常集積を示す,肺内MSFTの症例を経験した.診断にはCD34などの免疫染色が有用であった.
索引用語:肺内原発悪性孤立性線維性腫瘍, FDG-PET, 胸腔鏡下手術

受付日:2007年8月13日
受理日:2007年11月28日

肺癌 48 (1):51─55,2008

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