タイトル
第48巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

診断に難渋した肺腺癌(膠様腺癌)の1例

増村 京子1, 片岡 和彦2, 藤原 俊哉2, 松浦 求樹2, 妹尾 紀具2
広島市立広島市民病院 1外科, 2呼吸器外科

背景.膠様(コロイド)腺癌は,非常に稀な腫瘍である.症例.71歳女性.健診にて胸部X線写真上の異常を指摘された.CTにて右下葉に8 cm径の限局性浸潤影が認められたため,当院に紹介された.FDG-PETにて,病変部に一致したFDGの集積がみられず,経過観察された.11ヶ月後の再検CTでは変化なかったものの,悪性病変を否定できないためCTガイド下生検を施行したが,確定診断に至る組織が採取できなかった.診断・治療目的で手術を行った.術中迅速組織診にて膠様(コロイド)腺癌と診断されたため,右下葉切除とリンパ節郭清を行った.病理診断は,膠様(コロイド)腺癌pT2N0M0,Stage IBであった.結論.膠様(コロイド)腺癌は腺癌の特殊型の一つに分類されており,非常に稀である.多量の粘液貯留の中に腫瘍細胞が少量浮遊する特徴的な腺癌であり,そのためにPET偽陰性を呈したと考えられた.
索引用語:膠様(コロイド)腺癌, 肺癌, FDG-PET, 杯細胞型

受付日:2007年10月3日
受理日:2007年12月18日

肺癌 48 (1):62─67,2008

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