タイトル
第48巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

CT肺がん検診2008―窮鼠猫を噛むか?―

松井 英介1,2
1岐阜環境医学研究所, 2東京から肺がんをなくす会

肺がんは,世界中でがん死のトップの位置を占めている.低線量CTを使った肺がん検診の研究は,1993年から2007年にかけて世界各地で行われ,受診者はすでに10万人を超えた.どの研究でもI期肺がんの比率は高く,77~100%を占めている.International Early Lung Cancer Action Program Investigators(I-ELCAP)は31,567人を対象に検診を施行.発見肺がん484中I期は412(85%),10年生存率は88%であった.「東京から肺がんをなくす会(ALCA)」と日立の研究グループは,stage shiftの存在を示した.stage shiftは,質の高い繰り返し検診で,発見肺がん中に占める進行がんの比率が下がり,死亡率の低下を示唆する.ALCAと日立の研究グループの繰り返しCT検診歴は,各14年以上,7年以上である.飯沼は,初回検診のがん発見率が高いときは,検診が定常状態になる5年以降に累積死亡率を求める必要を強調している.良いデザインのRCTやコホート研究がない今,5年以上繰り返しCT検診の有効性評価に力を注ぐべきである.CT検診による石綿関連疾患の早期発見も重要な課題である.肺がん1例発見に要する費用は,CT検診がもっとも安価である.
索引用語:肺がん, 繰り返しCT検診, 有効性, Stage shift, アスベスト関連疾患

肺癌 48 (2):85─92,2008

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