タイトル
第48巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

大網転移をきたした非小細胞肺癌の2例

大鹿 芳郎1, 橋本 博史1
1自衛隊中央病院胸部心臓血管外科

背景.肺癌の大網転移は報告例がなく稀な転移形式と考えられる.症例.症例1:60歳男性.胸部異常陰影に対して精査の後,左下葉切除および縦隔リンパ節郭清術を施行(低分化腺癌).腹腔内腫瘤摘出術の結果,肺癌の大網転移が判明.胃カメラにて肺癌の胃壁内転移を認めた.以上より,原発性肺癌の胃壁への転移巣から大網リンパ節へ転移した可能性が考えられた.補助化学療法にて胃壁転移はほぼ消失した.症例2:44歳男性.イレウスにて消化器外科へ入院.腹腔鏡下大網腫瘤摘出術を施行.その後,縦隔腫瘤摘出術を施行した際左肺尖部に小結節を認めこれを部分切除した.病理結果は,肺原発大細胞癌で,大網および縦隔の腫瘤は転移巣であった.その後,肝転移をきたしたが,補助化学療法にてCRとなり,現在経過観察中である.結論.肺癌の大網転移は稀な転移形式であるが胃周辺の孤立性腹腔内腫瘤を認めた場合,大網転移の可能性も考慮に入れるべきであると考えられた.
索引用語:非小細胞肺癌, 大網転移, 胃転移, 手術, 術後補助化学療法

受付日:2007年3月1日
受理日:2008年1月7日

肺癌 48 (2):118─122,2008

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