タイトル
第48巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ダブルバルーン小腸内視鏡にて診断された肺癌小腸転移の2症例

吉岡 弘鎮1, 石田 直1, 林 秀敏1, 山本 正樹1, 石井 知也1, 橋本 徹1
1財団法人倉敷中央病院呼吸器内科

背景.肺癌の小腸転移は比較的稀であるが,小腸転移の早期診断は難しく,予後不良と報告されている.近年ダブルバルーン小腸内視鏡(double-balloon enteroscopy:DBE)が開発され,全小腸の検索が可能となり小腸病変の診断治療に利用されている.症例.DBEを用いて組織学的に肺癌小腸転移を診断し得た2症例を経験した.症例1は,49歳男性.右胸痛を主訴に受診され肺大細胞癌と診断された.入院後より頻回の黒色便を認め,DBEにて肺癌の多発小腸転移を組織学的に診断できた.姑息的小腸切除を含めた積極的治療を行うも奏功せず死亡された.症例2は,75歳男性.全身倦怠感と下血を主訴に受診された.DBEにて肺腺癌小腸転移を組織学的に診断できたが,小腸転移が多発性かつ易出血性であったため止血処置はできなかった.輸血を繰り返すも全身衰弱にて死亡された.結論.DBEにて早期に小腸病変の病態把握が可能で,かつ組織診断を確定することができた.苦痛を伴う検査であり,また実際の治療に結びつかないケースもあるため検査の適応については総合的に判断する必要がある.
索引用語:小腸転移, 小腸内視鏡, 肺癌

受付日:2007年7月30日
受理日:2008年2月8日

肺癌 48 (2):135─140,2008

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