タイトル
第48巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

縦隔リンパ節部位のCT読影基準のための縦隔内構造物の位置関係の検討

田中 悠子1, 上甲 剛2, 渡辺 俊一3, 楠本 昌彦4, 佐藤 嘉伸5, 土屋 了介3
1大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座放射線医学講座, 2公立学校共済組合近畿中央病院放射線科, 国立がんセンター中央病院 3呼吸器外科, 4放射線診断部, 5大阪大学大学院医学系研究科医用工学講座画像解析学分野

目的.CT画像上で,縦隔内構造物の位置関係を観察し,各リンパ節領域の画像上の位置関係について検討すること.対象と方法.2005年4月上旬から2005年9月中旬までの期間に大阪大学医学部附属病院にて結節とびまん性肺疾患の疑いで胸部CTが施行された201例と,2005年5月中旬から2005年8月中旬までの期間に国立がんセンター中央病院にて肺癌の術前に胸部CTが施行された7例について,縦隔内構造物の位置関係を解析した.リンパ節領域分けの指標には,肺癌取扱い規約(第6版)を用いた.結果.隣接する2つのアキシャル方向の基準スライスを比較した場合,左腕頭静脈と気管正中線の交点(79%)と大動脈弓上縁(21%),奇静脈弓上縁(61%)と大動脈弓下縁(39%),奇静脈弓上縁(96%)と左主肺動脈上縁(4%),右主肺動脈上縁(70%)と気管分岐部(30%)の4組で上下関係に個体差が生じ(カッコ内は頭側となるスライスの割合),これにより#2~#4,#6のリンパ節領域の境界面に差異が現れ,各リンパ節領域の画像上の位置関係が異なることがわかった.結論.縦隔内構造物の位置関係には個体差が存在し,これにより#2~#4,#6の各リンパ節領域の境界面は変化する.したがって,縦隔リンパ節の正確な診断・治療,及び三次元的なリンパ節領域分け表示のためには,これらの位置関係を考慮する必要がある.
索引用語:肺癌, 縦隔リンパ節郭清, CT, 胸部

受付日:2006年8月9日
受理日:2008年3月4日

肺癌 48 (3):176─184,2008

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