タイトル
第48巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

急速な経過をたどった超高齢者の肺癌肉腫の1例

水谷 尚雄1
1赤穂中央病院外科

背景.肺癌肉腫は肺悪性腫瘍の中でも極めて稀である.今回,当院に通院中にエア・ブロンコグラムを伴う肺の濃厚影として発見され急速な経過をたどった超高齢者の肺癌肉腫の1例を経験した.症例.患者は85歳の男性で当院に通院中に定期X線撮影で右下肺野の異常影を認め,胸部CT検査を施行した.右下葉末梢にエア・ブロンコグラムを伴う濃厚影を認め,また中葉外側にも内部均一な陰影を認めた.肺炎様の画像であったが,症状に乏しく腫瘍も否定できないためCT下生検を施行した.病理診断では異型細胞の高密度浸潤増殖を認めた.FDG-PET/CT検査で右下葉及び中葉外側に強い集積を認めたが,その他に転移を疑う集積を認めなかった.手術を施行し迅速病理診断で悪性間葉系腫瘍と診断され,右下葉切除術と右中葉の腫瘍摘出術を施行した.病理診断は肉腫様の紡錘形腫瘍細胞の高密度増殖に加え,一部に骨肉腫,軟骨肉腫,横紋筋肉腫の部分の混在と扁平上皮癌の部分も認め癌肉腫と診断された.術後早期に再発し術後約3ヶ月で死亡した.結語.肺癌肉腫は生検での確定診断は困難で予後は不良である.本例は半年間隔での胸部X線検査を行っていたが,早期発見と治療が困難であった.
索引用語:肺癌肉腫, エア・ブロンコグラム, 高齢者

受付日:2007年12月27日
受理日:2008年2月28日

肺癌 48 (3):185─190,2008

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