タイトル
第48巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

低濃度職業性曝露由来と推測される石綿肺―肺葉切除例の検索から―

河端 美則1, 星 永進2, 村井 克己2, 池谷 朋彦2, 高橋 伸政2, 斎藤 雄一2, 叶内 哲3, 生方 幹夫4, 高柳 昇4, 杉田 裕4
埼玉県立循環器・呼吸器病センター 1病理科, 2胸部外科, 3放射線科, 4呼吸器内科

目的.低濃度職業性石綿曝露に伴う石綿肺の有無,ならびに胸膜プラーク(PP)とusual interstitial pneumonia pattern(UIP/P)との関係を知ること.研究計画.対象は肺葉切除以上の手術がされた1324(男性971,女性353)例.石綿肺の診断は,UIP/Pを示し,3組織切片の鉄染色標本で1組織切片に1.0本以上の石綿小体,石綿肺疑いは1.0本未満の場合とした.結果.石綿肺は7例,石綿肺疑いは4例みられた.石綿小体数は1例を除き1切片中30本以下であった.全例男性で,小葉中心性線維化は4例に,PPは8例に,胸膜肥厚は8例に,胸膜癒着は7例にみられた.PPありの38例(男性36,女性2)のUIP/Pは17例(うち7例は石綿肺と石綿肺疑い), PPなしの1286例ではUIP/Pは198例(うち4例は石綿肺)で,石綿肺を含むUIP/Pの頻度は1%以下,石綿肺を除いた頻度は5%以下の危険率でPPありに有意に高値であった.結論.特発性肺線維症と考えられる中に石綿肺が紛れている.PPの存在はUIP/Pの危険因子の可能性がある.
索引用語:肺葉切除, 通常型間質性肺炎パターン, 胸膜プラーク, 石綿肺

受付日:2007年11月13日
受理日:2008年4月28日

肺癌 48 (4):254─260,2008

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