タイトル
第48巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

FDG-PETを契機に脊髄内転移の診断が可能であった肺小細胞癌の1例

鏑木 教平1, 磯部 和順1, 石田 文昭1, 阪口 真之1, 高井 雄二郎1, 本間 栄1
1東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科

背景.肺癌の脊髄内転移は稀であるが,急速に神経症状が進行し,QOLを著明に損ねる重篤な病態である.症例.症例は65歳,男性.2006年4月,右顎下部の腫瘤を主訴に精査入院.左下葉原発肺小細胞癌(cT2N1M1,右顎下リンパ節転移)と診断した.6月よりCisplatin(CDDP)+Irinotecan(CPT-11)を4コース施行し,complete responseとなり以後,外来通院していた.2007年4月,下肢の脱力としびれが急速に進行し来院.18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET)で頸髄および下部胸髄に限局性の異常集積を指摘された.脊髄MRIで,頸髄,胸髄に造影効果のある結節性病変を4ヶ所に認め,多発髄内転移と診断した.Carboplatin(CBDCA)+Etoposide(VP-16)を2コースと頸髄に放射線療法を施行し,髄内転移巣の著明な縮小と臨床症状の改善を認めた.結論.肺小細胞癌の多発髄内転移の検出にFDG-PETが有用であった.
索引用語:肺癌, 脊髄髄内転移, MRI, FDG-PET

受付日:2008年2月13日
受理日:2008年4月21日

肺癌 48 (4):279─284,2008

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