タイトル
第48巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

切除14年後に肺転移を認めた耳下腺原発腺様嚢胞癌の1例

杉山 文1, 江川 博彌1, 村井 博1, 濱井 宏介1, 向田 秀則2, 金子 真弓3
広島市立安佐市民病院 1内科, 2外科, 3病理

背景.唾液腺原発の腺様嚢胞癌は高率に肺転移をきたすが,14年という長期経過後に孤立性肺転移を発見された症例は稀である.症例.症例は74歳男性.1992年に左耳下腺腫瘍の摘出術が施行され,腺様嚢胞癌の組織診断がなされた.1994年の受診時には再発・転移所見を認めず,以降は経過観察を行われていなかった.2006年に施行されたCT検査にて,偶然左肺下葉に6 cm大の境界明瞭な腫瘤影を発見された.CTガイド下針生検の結果,腺様嚢胞癌と診断された.全身検索を行ったがその他の部位に遠隔転移はなく,左肺底区域切除術を施行した.摘出標本において本腫瘍は気管支との連続性を欠いており,耳下腺原発腺様嚢胞癌の肺転移と診断した.結論.われわれは原発巣術後14年目に孤立性肺転移を発見した腺様嚢胞癌の1例を経験した.術後10年以上で発見された腺様嚢胞癌肺転移症例を検討し,術後の経過観察ならびに再発時の治療法について考察した.
索引用語:耳下腺, 腺様嚢胞癌, 肺転移

受付日:2007年12月6日
受理日:2008年6月6日

肺癌 48 (4):290─294,2008

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