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第48巻第4号目次 Japanese/English

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─ 第33回画像診断セミナー ─

肺癌診断における気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography:EBUS)の役割

栗本 典昭1, 長田 博昭2
1聖マリアンナ医科大学呼吸器外科, 2湘南中央病院外科

気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography;EBUS)は,1)気管,気管支腫瘍の深達度診断,2)腫瘍の肺動静脈への浸潤診断,気管,気管支周囲のリンパ節描出,転移診断,3)気管支周囲病変に対するTBNA施行時のガイド,4)肺末梢病変の位置診断,質的診断(良悪性診断),5)再発性多発軟骨炎などの気道壁病変の画像評価,などである.最近,超音波プローブのまわりにguide sheath(GS)を被せて病変までもっていき,EBUSで病変に到達したことを確認後,プローブのみを抜去し,残したGSに生検鉗子を挿入する手技を開始している.EBUS-GSの診断率は,150例中116例(77%),悪性病変は101例中82例(81%),良性病変49例中35例(71%)であった.擦過細胞診全体の診断率は60%(90/150),経気管支肺生検全体の診断率は70%(89/128)であった.プローブが病変内に入っている場合の診断率87%(105/121)は,病変の辺縁に接している場合の診断率42%(8/19)に比べかなり良好であった.病変の大きさの診断率への関与では,≦10 mm(16/21,76%),10< ≦15 mm(19/25,76%),15< ≦20 mm(24/35,69%),20< ≦30 mm(33/43,77%)と,大きさで違いがなかった.言い換えれば,小さい病変でも大きい病変でも変わりなく診断できるということになる.また,大きさ20 mm以下の透視で見えない病変でも74%(40/54)の高い診断率を示し,透視で見えない病変でも診断可能の可能性がある.
索引用語:気管支腔内超音波断層法, 肺末梢病変, ガイドシース

肺癌 48 (4):318─326,2008

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