タイトル
第48巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

大細胞神経内分泌癌の成分と他の組織型の成分が混在した原発性肺癌切除例の検討

前田 亮1, 磯和 理貴1, 河崎 雄司2, 徳安 宏和2, 唐下 泰一2
松江赤十字病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科

目的.大細胞神経内分泌癌は臨床病理学的に新たに確立されたまれな腫瘍であるが,その組織像は均一でないことがある.この研究の目的は,当院で経験した大細胞神経内分泌癌の成分を含んだ混合型大細胞神経内分泌癌もしくは混合型小細胞癌の臨床病理学的特徴を解明することである.対象.2003年4月から2008年3月までの間に,大細胞神経内分泌癌の成分を含んだ混合型大細胞神経内分泌癌もしくは混合型小細胞癌と診断された4例を対象とした.結果.性別は全例男性であり,年齢は65~85歳で平均76.8歳であった.術前のpositron emission tomography(PET)with 18F-fluorodeoxyglucose(FDG)検査では全例腫瘍に高度な集積が認められた.術式は区域切除が1例,肺葉切除が3例で,病理病期はI期2例,II期1例,III期1例であった.大細胞神経内分泌癌の成分に混在していた成分は,腺癌1例,扁平上皮癌1例,小細胞癌2例であった.1例に術後10ヶ月目に再発が認められた.結論.大細胞神経内分泌癌の成分と他の組織型の成分が混在した混合型の予後については,言及できなかった.しかし,全例術前のFDG-PET検査で腫瘍に高度な集積が認められており,high-gradeな腫瘍であることが予想された.今後症例の蓄積によって混合型の適切な治療や予後の解明が待たれる.
索引用語:肺癌, 混合型大細胞神経内分泌癌, 混合型小細胞癌

受付日:2008年6月4日
受理日:2008年8月18日

肺癌 48 (6):693─699,2008

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