第48巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
副鼻腔転移をきたした肺腺癌の1例
酒井 麻夫1,3, 岩佐 桂一1, 前田 宜延2, 木村 英晴3, 笠原 寿郎3, 藤村 政樹3富山赤十字病院 1内科, 2病理, 3金沢大学大学院細胞移植学呼吸器内科
背景.肺癌の頭頸部への転移は比較的高い頻度で認められるが,副鼻腔転移は極めて稀である.今回われわれは,経過中に副鼻腔転移を認めた症例を経験した.症例.症例は56歳,男性.1年半にわたる肺癌治療経過中に鼻出血が出現した.頭部CTでは両側前頭洞,左側篩骨洞・上顎洞・鼻腔にかけて腫瘤性病変を認めた.生検による病理組織像は原発巣と同一の腺癌であった.初回入院時の頭部MRIをレトロスペクティブに検討したところ,左篩骨洞に腫瘤陰影があり,初診時にすでに副鼻腔転移を認めていたものと考えられた.結論.副鼻腔転移は治療経過中に認められる報告が多いが,初診時にも無症状の副鼻腔転移を有する場合があり,慎重に診断して観察する必要がある.
索引用語:副鼻腔転移, 肺癌
受付日:2007年12月26日
受理日:2008年8月12日
肺癌 48 (6):715─720,2008