第48巻第6号目次 | Japanese/English |
Full Text of PDF (531K) Article in Japanese |
─ 第22回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─
薬剤性肺障害の画像診断の問題点―イレッサ®コフォート内ケースコントロールstudyの結果より―
上甲 剛11公立学校共済組合近畿中央病院放射線科
イレッサ®コフォート内ケースコントロールstudyは,以下の3つの仮説を実証するものとなった.1.既存肺に慢性間質性肺炎を伴うものは発症のriskが高く,発症すると予後不良であること,2.既存肺に正常部が少ない症例ほど発症のriskが高く,発症すると予後不良であること,3.癒着により呼吸性移動を制限されている領域には薬剤性肺障害は発症しにくく,その広がりが広いほど予後不良であることの3点である.1.は薬剤により慢性間質性肺炎の急性増悪が生じることを示唆し,欧米との重症な薬剤性肺障害の頻度の違いが,慢性間質性肺炎の急性増悪の欧米との頻度の違いに帰着されることが想起された.2.は上皮の再生修復が行われている領域が広いほど重篤な薬剤性肺障害が発生し,薬剤性肺障害は正常部に生ずるため,正常部が少ないと残りの肺にはガス交換spaceがないため予後不良となりやすいことを示唆している.3.は呼吸性移動制限が生じるとそのため血流が低下し,同部にpathogenが移行しないため,薬剤性肺障害からspareされると推定される.このため,投与前の肺における慢性間質性肺炎の有無,正常肺の量,可動制限域の有無と広がりを慎重にcheckする必要が生じた.
索引用語:薬剤性肺障害, ゲフィチニブ, CT, 慢性間質性肺炎, 急性増悪
肺癌 48 (6):727─731,2008