タイトル
第48巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

Bubble-like appearance(BLA)のThin-section CT画像所見を呈する肺腺癌の検討

小島 陽子1, 斉藤 春洋1, 伊藤 宏之1, 近藤 哲郎1, 尾下 文浩1, 中山 治彦1, 横瀬 智之2, 亀田 陽一2, 野田 和正1, 山田 耕三1
神奈川県立がんセンター 1呼吸器科, 2病理診断科

背景.我々は,陳旧性炎症として比較的長期間経過観察される肺腺癌の一群を,特徴的なCT画像所見からBubble-like appearance(BLA)を呈する肺腺癌として報告した(斉藤ら.気管支学.2004;26:346-351).これらのBLA型肺腺癌について臨床病理学的な検討を行った.方法.2003年8月~2007年3月に当センターで外科切除された肺腺癌で,診断時のTS-CT画像所見がBLAを呈した17例を対象とし,CT画像,病理所見,臨床像の対比検討を行った.結果.腫瘍最大径は平均35.4 mm.TS-CT画像所見の特徴は,①腫瘍の形状は不整形,辺縁は直線状,②腫瘍周囲にわずかなGGO所見,③腫瘍内部に複数の小気管支拡張像,④著明な胸膜陥入像,であった.病理所見は,(1)腫瘍辺縁にBAC,(2)腫瘍内部に比較的広範な肺胞虚脱,(3)複数の小気管支拡張所見,の特徴を認めた.過去画像を追跡できる全例が炎症性陰影と判断されていた.腫瘍倍加時間は平均1167日であり,全例に術後再発を認めていない.結論.BLA型肺腺癌は,不整な形状で増大速度が緩徐であり,陳旧性炎症として比較的長期間経過観察される傾向がある.炎症陰影との鑑別に注意が必要である.
索引用語:Bubble-like appearance, 腺癌, Thin-section CT, 肺胞虚脱, 細気管支肺胞上皮癌

受付日:2008年8月11日
受理日:2008年10月21日

肺癌 48 (7):801─806,2008

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