タイトル
第48巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

孤立性腫瘤陰影を呈した悪性胸膜中皮腫の1例

益田 武1, 中野 喜久雄1, 大森 謙一2, 須崎 剛行3, 竹内 幸康4, 谷山 清己5
独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター1呼吸器科, 2呼吸器外科, 3大阪大学病院医学系研究科外科学講座呼吸器外科学, 4独立行政法人国立病院機構刀根山病院呼吸器外科, 5独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部

背景.孤立性腫瘤陰影を呈した悪性胸膜中皮腫の症例は稀である.症例.73歳,男性.咳嗽,労作時呼吸困難を呈し,画像所見で右胸水貯留,右横隔膜上に腫瘤をみとめた.確定診断のため胸腔鏡検査を施行した.検査所見では横隔膜上に腫瘤をみとめ,壁側胸膜に白色の小結節が散在していた.生検により二相性悪性中皮腫,pT2N0M0,Stage IIと診断された.CDDP,Pemetrexedによる化学療法を5コース施行し,PRとなった.胸水コントロールが不良であり,胸腔鏡下腫瘤横隔膜合併切除術,ピシバニール®の胸腔内投与による胸膜癒着術を施行した.その後胸水の増加はなく8ヶ月無症状で経過しているが,播種病変が増大したため,Gemcitabineによる化学療法を追加した.小結節病変に比べ,孤立性腫瘤のより強い増殖能がCD34抗体,D2-40抗体,Ki-67抗体による免疫染色により示された.結論.免疫染色の結果,小結節病変と比較して,孤立性腫瘤は血管新生が強く,増殖能が亢進していることが証明された.腫瘤は増殖した肉腫成分により形成されていた.
索引用語:限局性悪性胸膜中皮腫, 胸腔鏡検査, 免疫組織化学染色

受付日:2008年4月25日
受理日:2008年9月11日

肺癌 48 (7):825─831,2008

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