タイトル
第48巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

術前病期判定にPET検査が有用であったカルチノイド合併肺扁平上皮癌の1例

前田 純1, 尾田 一之1, 岡見 次郎1, 東山 聖彦1, 児玉 憲1
1大阪府立成人病センター呼吸器外科

背景.肺癌術前病期判定における画像診断は基本的に胸部CTを用いるが,PET検査の併用は有効であることが認識されてきている.症例.73歳男性.検診胸部X線にて左上肺野(S3)の異常陰影を指摘され,気管支鏡下生検にて肺扁平上皮癌と診断された.術前胸部CTで,原発巣は左S3末梢にφ19 mmの充実腫瘤を呈し,さらにB1+2気管支起始部にφ18 mmの腫瘤影を認めたため肺門リンパ節転移陽性と考え,cT1N1M0 stage IIAと診断した.しかし,同時期に行ったPET-CT検査では集積はS3病変のみで肺門リンパ節への転移は否定的であった.左上葉切除+ND2aを施行したところ,肺門リンパ節と思われた結節は定型カルチノイドであった.最終診断はカルチノイド合併肺扁平上皮癌で,リンパ節転移を認めずstage IAであった.結論.肺癌術前リンパ節転移診断にはCTとPET検査を含めた総合的な評価が必要な症例があり,本例ではPET検査が有用であったと考えられた.
索引用語:肺癌, 肺カルチノイド, リンパ節転移, PET

受付日:2008年7月17日
受理日:2008年9月16日

肺癌 48 (7):836─840,2008

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