タイトル
第48巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

術中迅速病理検査にてカルチノイドと診断された肺硬化性血管腫の1例

片岡 和彦1, 藤原 俊哉1, 岩本 康男2, 住吉 秀隆2, 松浦 求樹1, 妹尾 紀具1
広島市立広島市民病院 1呼吸器外科, 2呼吸器科

背景.肺硬化性血管腫は,術中迅速病理検査にて腺癌と診断されたという報告が散見される腫瘍である.症例.25歳の女性が,検診にて肺腫瘍を指摘された.胸部X線写真では,左下肺野に腫瘤影が認められた.胸部CTでは,左S8に40 mmの境界明瞭な腫瘤が認められた.PETではFDGの異常集積(SUV 5.0)が認められた.気管支鏡は咳にて挿入できなかったため,胸腔鏡下手術を施行することとした.腫瘍の針生検を施行し術中迅速病理診断に提出し,カルチノイドと診断されたため,左下葉切除+リンパ節郭清術を施行した.しかしながら,切除標本の術後検索では,硬化性血管腫の組織像に矛盾しない組織所見を呈していた.硬化性血管腫は,組織学的には乳頭状部分,充実性部分,硬化性部分,血管腫様部分が混在すると報告されている.乳頭状の部分は腺癌と診断される可能性があり,充実性部分はカルチノイドと診断される可能性がある.術中の針生検の標本に充実性部分しか含まれていなかったため,今回の腫瘍はカルチノイドと診断された.結論.硬化性血管腫が疑われる場合,術中針生検では複数の標本を採取すべきと考えられた.
索引用語:硬化性血管腫, カルチノイド, FDG-PET, 術中迅速検査

受付日:2008年8月18日
受理日:2008年10月6日

肺癌 48 (7):850─855,2008

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