タイトル
第49巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺野末梢の小型肺腺癌に対するMRI拡散強調画像による悪性度の評価

田中 良太1, 堀越 浩幸2, 吉田 勤1, 中里 宜正1, 鈴木 邦明3, 佐藤 浩二3, 飯島 美砂4, 呉屋 朝幸5, 湊 浩一3
群馬県立がんセンター 1呼吸器外科, 2放射線診断部, 3呼吸器内科, 4病理部, 5杏林大学医学部外科学教室

目的.末梢型の小型肺腺癌を対象として,MRI拡散強調画像の画像解析と切除標本の病理学的な所見とを対比しその有用性を検討した.対象と方法.2005年5月から2007年12月までに当センターで手術を施行した,病理学的な腫瘍長径が2 cm以下の小型肺腺癌38例を対象とした.対象症例を,Noguchi分類のType A+Bを非浸潤癌(n=12),Type Cを初期浸潤癌(n=21),Type D+Eを浸潤癌(n=5)と定義した.病巣部の信号強度(DWI)を脊髄部の信号強度(SC)で割ることでえられた比率(DWI/SC比)を算出した.CTとDWI/SC比の画像解析データをもとにROC(receiver operating characteristic)曲線を作成し比較検討した.結果.各浸潤度別のDWI/SC比(平均値)は非浸潤癌が0.444±0.283,初期浸潤癌が0.985±0.513,浸潤癌が0.790±0.344であった.非浸潤癌と初期浸潤癌(p=0.0021),非浸潤癌と浸潤癌(p=0.0468)との間で有意差を認めた.DWI/SC比は比較的にROC曲線が左肩上がりの傾向を示し,より安定的な結果となった.結論.肺野末梢型の小型肺腺癌に対する高b値拡散強調画像は病変の悪性度(浸潤度)を見極めるのに有用であり,そして近い将来縮小手術の適応など治療方針の決定に関わる付加的な情報を提供するものと思われる.
索引用語:拡散強調画像, DWI, 核磁気共鳴検査, 肺癌, 腺癌

受付日:2008年7月18日
受理日:2008年10月23日

肺癌 49 (1):17─24,2009

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