タイトル
第49巻第1号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1364K)
Article in Japanese

─ 第23回肺癌集検セミナー ─

肺がん検診システムをどう構築するか―細胞検査士の立場から―

土屋 菊枝1, 石山 功二1, 鎌田 久美子1, 杉山田 隆男1
1財団法人東京都予防医学協会細胞病理診断科

目的と方法.喀痰細胞診陽性となっても精密検査において,病巣の確認が困難な症例も認められる.それらをより早期に発見できるような検診システム構築に向けて,(1)対策型(住民,職域)検診と,(2)会員制肺がん検診組織である「東京から肺がんをなくす会」Anti-Lung Cancer Association(以下ALCA)の検診成績から,問題点を検討した.成績.(1)対策型検診では,要精検者266例中追跡可能であった187例から,97例の癌(51.9%)と良性・異常なし90例(48.1%)の結果を得,その中から,数年後に癌が確定された症例が認められた.(2)ALCAでは,CTにより発見された肺野部扁平上皮癌17例中,喀痰には52.9%が出現,66.6%がI期だった.また,癌確定までに1年以上を要した症例は11例で,喀痰陽性中の37.9%であった.そのうち2例は,腫瘍径20 mm以下であったがリンパ節転移を認めた.結論.1.精検結果異常なしであっても喀痰細胞診とCT検査によるfollow upが重要.2.対策型検診では,受診者に対し医師,保健師,検診担当者から肺癌の知識,経年受診の重要性などについての啓発が必要.3.喀痰細胞診は,肺野部扁平上皮癌においても有用な検査法の一つと思われた.
索引用語:肺癌検診, 喀痰細胞診, 低線量CT, 扁平上皮癌, 経過観察

肺癌 49 (1):104─108,2009

ページの先頭へ