タイトル
第49巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第23回肺癌集検セミナー ─

国際的視点からみる日本のタバココントロールの現状―肺癌検診関係者や日本肺癌学会はタバコとどう対峙すべきか―

繁田 正子1
1京都府立医科大学大学院医学研究科地域保健医療疫学

第23回肺がん集検セミナーにおいて,喫煙問題に関する研修を行った.この機会に,すべての日本肺癌学会員に,タバコ対策の重要性を認識し,それに積極的に参画することを強く促したい.肺がんの原因としてタバコはもっとも大きいものである.完治がのぞめない人は多く,死亡率も高い.医師としての力を可能な限りタバコ対策に向けてなければ,市民の命を守ることはできない.学会として個人として具体的に何をすべきかは,WHOの2005年の世界禁煙デイに向けての声明「The Role of Health Professionals in Tobacco Control」に明記されている.すなわち(1)会員が社会のロールモデルになるよう,タバコを吸わず無煙文化を推し進めるよう促す,(2)会員の喫煙状況やタバコ規制に関する態度などを調査する,(3)学会の建物やイベントを禁煙にする,(4)会議の声明には必ずタバコ規制をもり込む,(5)会員に対して常に患者の喫煙状況やタバコ煙曝露状況を尋ねるように求める,(6)所属施設の業務内容にタバコ規制を入れるよう促す,(7)WHOの世界禁煙デイに積極的に参加する,(8)タバコ会社からはいかなるサポートも受けない,(9)タバコ会社と交流があったり利益を受けている組織とは関係をもたないように規定する,(10)所属施設内でタバコを売ったり宣伝したりすることを禁止する,(11)政府がWHOのたばこ規制枠組条約を守るようにサポートする,(12)タバコ規制に金銭的・非金銭的に貢献する,(13)タバコ規制活動に参加する,(14)公共の場を禁煙にする活動を支援する,の14である.現状では,日々の診療に追われてなかなかすべてを行うことは難しいが,肺がんを診る医師は,いつもこの精神をもって行動すべきである.
索引用語:肺癌, タバコ, 喫煙, 世界保健機関, たばこ規制枠組条約

肺癌 49 (1):113─121,2009

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