第49巻第2号目次 | Japanese/English |
Full Text of PDF (384K) Article in Japanese |
─ 原著 ─
原発性肺癌術後の残存肺全摘術症例の検討
小野 憲司1, 永島 明1, 稲葉 義平1, 岩浪 崇嗣1, 安元 公正21北九州市立医療センター呼吸器外科, 2産業医科大学第2外科
目的.肺癌術後の局所再発や第二癌に対して残存肺全摘術(CP)が行われることがある.今回,当院のCP症例を解析しその適応,合併症,予後について検討した.対象と方法.1992年4月から2007年3月までに当科で肺癌術後の再発肺癌あるいは第二癌に対しCPを行った9例(2例は他施設で初回手術施行)を対象とした.結果.男性8例,女性1例.CP時の平均年齢は62歳(47~71歳).初回手術の組織型は,腺癌6例,扁平上皮癌2例,癌肉腫1例.病理病期はIA期3例,IB期2例,IIA期1例,IIB期2例,IIIA期1例.術式は肺葉切除8例,肺葉切除+部分切除1例で,全例に縦隔リンパ節郭清が行われていた.2例に術後放射線治療(気管支断端),4例に術後補助化学療法が行われていた.血管処理法の記載のあった7例全例で肺動静脈の処理は心嚢内で行われていた.術後合併症は2例に一過性の心房細動を認めた.予後は,原病死4例,他病死1例,無再発生存4例で,5年生存率41.7%であった.結論.CPは手術侵襲の大きな術式であるが,慎重な手術適応により長期生存が期待できる治療法の一つである.
索引用語:残存肺全摘術, 肺機能, 術後合併症, 予後
受付日:2008年6月16日
受理日:2008年11月26日
肺癌 49 (2):157─161,2009