第49巻第2号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
肺多形癌空腸腸間膜転移の1例―転移部位30例の検討―
吉川 茜1, 猶木 克彦1,3, 似鳥 純一2, 藤井 知紀4, 岡本 浩明1,4, 渡辺 古志郎1,4横浜市立市民病院 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3慶應義塾大学医学部包括先進医療センター, 4横浜市立市民病院腫瘍内科
背景.肺原発多形癌は稀であり,予後不良である.肺癌の消化管転移は8.8%と頻度が低いとされるが,肺多形癌では消化管転移が他の組織型に比し多いという報告がある.症例.59歳男性.胸部レントゲン異常影のため当科初診.気管支鏡検査にて非小細胞肺癌と診断され,2006年5月右肺上葉切除およびリンパ節郭清を含む根治術を施行,肺多形癌,病理病期IBと診断された.2007年7月微熱およびSCC上昇を認め,PET検査を施行,腹部症状を認めない段階で15 cm大の上腹部腫瘍を認め腫瘍摘出術(および空腸部分切除術)を施行,腸間膜転移と診断した.全身化学療法を検討していたが,わずか3ヶ月で多臓器転移をきたし死亡した.結論.1999年WHOの改訂以降本邦で報告された肺多形癌30症例をまとめ,その転移先について検討した.消化管転移は急性腹症で発症することが多く,肺多形癌は消化管転移をきたしやすいことを念頭において経過観察する必要があると考える.
索引用語:肺癌, 肺多形癌, 腸間膜転移, 消化管転移
受付日:2008年7月1日
受理日:2008年11月17日
肺癌 49 (2):187─192,2009