タイトル
第49巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌患者におけるニューモシスチス肺炎の臨床的検討

西垣 豊1, 藤田 結花1, 藤内 智1, 平松 美江1, 山本 泰司1, 武田 昭範1, 山崎 泰宏1, 藤兼 俊明1
1独立行政法人国立病院機構道北病院呼吸器科

目的.ニューモシスチス肺炎(pneumocystis pneumonia;PCP)は致死的な日和見感染症として知られている.一方,肺癌の治療経過中,時に,PCPの発症を経験する.PCP発症の実態を明らかにするため,症例の臨床的特徴,治療法による発症頻度をretrospectiveに検討した.研究計画.2004年1月から2005年12月までに当科で肺癌の確定診断が得られた297症例を対象とした.PCPの診断は,臨床症状,臨床所見とともに気道検体の検鏡またはpolymerase chain reaction法でニューモシスチス陽性とした.結果.全297例中13例(4.4%)で経過中にPCP発症が診断された.13例へ施行された肺癌治療は化学放射線療法4例,抗癌剤化学療法7例(緩和的放射線治療併用は4例),放射線治療単独1例,外科的切除施行例1例であり,さらに13例中10例は副腎皮質ステロイド剤の投与を受けていた.化学療法および放射線療法施行,またステロイド治療を受けた症例で高頻度にPCPの発症を認めた.結論.化学療法や放射線療法が施行され,加えてステロイド剤を使用する場合にはPCPの発症に十分な注意が必要であると考えられる.
索引用語:肺癌, ニューモシスチス肺炎

受付日:2008年10月20日
受理日:2009年1月19日

肺癌 49 (3):241─247,2009

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