タイトル
第49巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

EGFR遺伝子活性型変異陽性の非小細胞肺癌患者においてゲフィチニブ治療中に認められた耐性形式の検討

佐藤 輝幸1,2, 井上 彰2, 福原 達朗2, 榊原 智博2, 太田 洋充1,2, 海老名 雅仁1,2, 西條 康夫3, 貫和 敏博1,2
1東北大学大学院医学系研究科呼吸器病態学分野, 2東北大学病院呼吸器内科, 3弘前大学腫瘍内科

背景.上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブは,活性型EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者に対して著明な抗腫瘍効果をもたらすが,後に生じる耐性化への対策は十分に検討されていない.方法.2004年6月~2007年6月の間に,当施設で活性型EGFR遺伝子変異陽性と診断され,ゲフィチニブ治療が開始された進行非小細胞肺癌患者を対象に,増悪形式に関連した臨床的特徴をレトロスペクティブに解析した.結果.51例にゲフィチニブ治療が行われ,奏効率,病勢制御率は各々71%(36/51),86%(44/51)であった.病勢制御できた44例のうち,2008年4月末時点で33例に増悪を認め(無増悪生存期間中央値14ヶ月),21例は胸郭内,12例は遠隔臓器での増悪(うち10例は脳転移)であった.脳転移増悪例の過半数では放射線治療とともにゲフィチニブが3ヶ月以上継続され,生存期間中央値は28.2ヶ月と極めて良好であった.耐性遺伝子変異T790Mは全て原発巣近傍から検出された.結論.ゲフィチニブ治療例においては異なる増悪形式が認められ,それぞれの機序をふまえた治療法の開発が望まれる.
索引用語:非小細胞肺癌, ゲフィチニブ, 上皮増殖因子受容体, 遺伝子変異, 耐性

受付日:2008年7月17日
受理日:2009年3月13日

肺癌 49 (3):257─261,2009

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