タイトル
第49巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

重症筋無力症合併多発肺癌に同時手術を施行した1例

片岡 和彦1, 藤原 俊哉1, 松浦 求樹1, 妹尾 紀具1
1広島市立広島市民病院呼吸器外科

背景.重症筋無力症(MG)に合併した肺癌の報告は少ない.症例.76歳の女性で,主訴は眼瞼下垂と下肢の脱力.エドロフォニウムの注射により筋力の改善を認めた.Sero-negative MGと診断された.胸部X線写真にて,右上肺野に異常影が認められた.胸部CTにて,右S1に3 cmのmixed ground glass opacity(GGO),右S3に1 cmのGGO,左S10に5 mmのGGOの3病変が認められた.肋間開胸を伴わない胸骨正中切開にて,拡大胸腺摘出術と根治的右上葉切除,リンパ節郭清術を同時に施行した.病理学的検索により,S1とS3の病変はそれぞれ混合型腺癌と肺胞上皮癌と診断された.術後経過は良好で,術後10日目にMGの薬物治療のために神経内科に転科した.4年2か月後の現在,患者は無再発生存しており,左S10のGGOに変化を認めず,pyridostigmine bromideの内服のみで筋力はほぼ正常に維持されている.結論.胸腺腫を合併しないMGと原発性多発肺癌の同時手術症例を報告した.MGに肺癌を合併する可能性がまれながら存在することを念頭に置くことが必要である.
索引用語:重症筋無力症, 重症筋無力症合併肺癌, 同時手術

受付日:2008年10月14日
受理日:2008年12月18日

肺癌 49 (3):273─277,2009

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