タイトル
第49巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺腺癌の多発脳転移でgefitinibが奏効し原発巣及び転移部位でEGFR遺伝子変異を検討しえた1例

塙平 孝夫1, 高尾 匡1, 善家 義貴1, 四竃 純1, 箱田 有亮1, 井上 智治1
1板橋中央総合病院呼吸器科

背景.肺腺癌の多発脳転移の症例で治療の前後でEGFR遺伝子変異が解析されていることはまれである.今回,我々は肺腺癌の多発脳転移の症例でgefitinibが奏効し,原発巣では治療前及び剖検時,転移部位においては剖検時にEGFR遺伝子変異を検討しえた症例を経験したので報告する.症例.44歳女性.咳嗽,呼吸困難を主訴に来院.来院時,胸部X線写真にて右胸水と腫瘍影を認めCT下肺生検にて肺腺癌組織を認めた.遠隔転移は認めずStage IIIBと診断しcarboplatin(CBDCA),gemcitabine(GEM)2コースを施行したが胸水の増量を認め,その後docetaxel(TXT)4コースを施行したが多発脳転移を認めPDであった.全脳照射は希望されずgefitinibの内服を行い病状が悪化し入院するまで約6ヶ月間,外来通院が可能であったが,その後,病状悪化し永眠された.結論.肺腺癌の多発脳転移で肺原発巣生検組織のEGFRのexon 19領域における遺伝子欠失を認めgefitinibが有効な症例であった.剖検では肺原発巣及び脳転移部位においてのEGFR遺伝子変異はともに認められずgefitinib抵抗性に変化したと考えられた.
索引用語:肺腺癌の多発脳転移, gefitinib, EGFR遺伝子変異

受付日:2008年8月5日
受理日:2009年1月15日

肺癌 49 (3):282─286,2009

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