第49巻第3号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
肺癌に併存した濾胞性リンパ腫の1例
櫻井 裕幸1,2, 小山 敏雄31東京都済生会中央病院呼吸器外科, 山梨県立中央病院 2外科, 3病理科
背景.今回我々は,肺癌に併存した濾胞リンパ腫に対して,両疾患に根治的な治療を行うことができた症例を経験したので報告する.症例.患者は68歳の男性.定期検診にて胸部X線写真で異常陰影を指摘され,近医を受診した.肺癌が疑われ精査ならびに治療のため当院へ紹介された.全身精査では肺病変の他に腹部リンパ節の腫大を認めた.まず腹部リンパ節を生検し,濾胞リンパ腫と診断された.肺病変は前医の生検で腺癌が疑われていたが,リンパ腫の節外病変を除外するために再度生検を施行し,肺癌と診断された.肺癌は病期IBで,濾胞リンパ腫は病期IIと判断し,肺癌に対する根治的外科治療を先行し,その後,濾胞リンパ腫に対する化学療法を施行した.結論.侵襲的ではあるが積極的に腹部リンパ節生検を行うことで同時性重複悪性腫瘍(肺癌および悪性リンパ腫)と確定診断でき,また両疾患において根治的治療を行うことができた.
索引用語:悪性リンパ腫, 肺癌, 同時性重複悪性腫瘍
受付日:2008年12月3日
受理日:2009年2月16日
肺癌 49 (3):309─312,2009