タイトル
第49巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

緩和医療における薬剤の副作用―薬剤師の視点と役割―

岡本 禎晃1
1大阪大学大学院薬学研究科

薬には,期待される作用(効果)と期待されない作用(副作用)の両者が存在する.緩和医療では,患者の多くに薬物代謝や排泄などの機能の低下がみられるのに加えて,多剤併用療法が行われるため薬物相互作用が生じやすいことから,薬剤の副作用の発現頻度が,通常より高くなる危険性がある.特に終末期においては,症状が多岐にわたることから,それぞれの症状の原因を特定することは困難な場合が少なくない.疼痛以外で多くみられる症状としては悪心・嘔吐,せん妄などがある.悪心・嘔吐の原因としては,高カルシウム血症や,頭蓋内圧亢進,便秘,消化管障害や消化管閉塞などの他に,オピオイドや選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)などの薬剤による副作用についても検討する必要がある.悪心・嘔吐の対処法は,原因によって異なってくる.従って,原因の特定に際しては,多面的に検討する必要がある.今回,緩和医療における薬剤師の重要な役割のひとつである情報提供の実例として,発現頻度が高く,薬物療法の副作用としても多く認められる悪心・嘔吐,せん妄などを中心に,原因薬物の探索とその対処法について薬剤師の立場から提言する.
索引用語:副作用, 緩和ケア, 緩和医療, 進行がん, オピオイド

肺癌 49 (4):349─352,2009

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