タイトル
第49巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

早期悪性胸膜中皮腫―病理診断の問題点と対策―

辻村 亨1, 佐藤 鮎子1, 鳥井 郁子1, 玉置 知子2, 吉川 良恵3, 福岡 和也3, 田中 文啓4, 長谷川 誠紀4, 中野 孝司3
兵庫医科大学 1病理学(分子病理部門), 2遺伝学, 3内科学(呼吸器・RCU科), 4呼吸器外科

目的.早期中皮腫病変(EM)と反応性中皮過形成(RM)との鑑別は治療方針を決定する上で極めて重要であるが,これらの病変を形態的に鑑別することは難しい.我々は悪性胸膜中皮腫(MPM)ではp16INK4A遺伝子やNF2遺伝子が高頻度に欠失することに着目し,これらの遺伝子異常がEMとRMの鑑別に有用であるのかどうかを検討した.方法.形態的特徴に免疫組織化学染色を加えて評価し,MPM(16例),RM(3例),EM(2例)を選別した.これらの症例についてp16INK4A遺伝子とNF2遺伝子の欠失領域のプライマーを作製し,ゲノムDNAを鋳型にしたリアルタイムPCRにより遺伝子欠失の有無を検討した.結果.全てのRM症例でp16INK4A遺伝子とNF2遺伝子はともに保存されていたのに対して,MPMの全ての症例でp16INK4A遺伝子が欠失するとともにNF2遺伝子も高頻度に欠失していた.また,EMの2症例でp16INK4A遺伝子の欠失がみられ,その内の1例はNF2遺伝子も欠失していた.結論.p16INK4AとNF2の遺伝子診断は,EMとRMの鑑別に極めて有用であると考えられる.
索引用語:悪性胸膜中皮腫, 反応性中皮過形成, p16INK4A遺伝子, NF2遺伝子, 遺伝子欠失

肺癌 49 (4):376─379,2009

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