タイトル
第49巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

悪性胸膜中皮腫に対する薬剤感受性の解析と治療戦略

朴 智栄1,4, 小川 紫都1, 朴 将哲1, 清水 淳市1, 堀尾 芳嗣1, 吉田 公秀1, 谷田部 恭2, 関戸 好孝3, 樋田 豊明1
愛知県がんセンター中央病院 1呼吸器内科部, 2遺伝子病理診断部, 3愛知県がんセンター研究所分子腫瘍学部, 4鹿児島大学大学院医歯学総合研究科国際島嶼医療学講座

目的.悪性胸膜中皮腫の化学療法の奏効率は低く生存への寄与も明らかではない.本研究では悪性胸膜中皮腫の薬剤感受性の解析結果に基づいた新たな治療戦略の可能性について検討した.方法.悪性胸膜中皮腫症例から培養株の樹立を行い,MTT法を用い現在の第1選択レジメンであるシスプラチンとペメトレキセドの感受性の検討を行った.また,従来の悪性胸膜中皮腫に対するkey drugの1つであるアンスラサイクリン系の新規抗癌剤,アムルビシンの感受性についても検討を加えた.さらにシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素阻害剤との併用効果についても検討を加えた.結果.シスプラチン,ペメトレキセド単剤で悪性胸膜中皮腫に対する増殖抑制効果が認められたが,アムルビシンの増殖抑制効果はさらに強い傾向を示した.さらに,COX-2阻害剤の併用により胸膜中皮腫細胞の増殖抑制増強効果が観察された.結論.薬剤感受性が低く難治性の疾患である胸膜中皮腫に対して,シクロオキシゲナーゼをターゲットにした新しい治療戦略やアムルビシンを用いた治療も今後期待される治療法になりうることが示唆された.
索引用語:悪性胸膜中皮腫, 薬剤感受性, ペメトレキセド, アムルビシン(アムルビシノール), シクロオキシゲナーゼ2酵素阻害剤

肺癌 49 (4):386─391,2009

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