タイトル
第49巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

上皮成長因子受容体遺伝子変異は喫煙・性別とは独立に肺腺癌患者のゲフィチニブ治療における予後に関係する

豊岡 伸一1, 高野 利実2, 高坂 貴行3, 堀田 勝幸4, 松尾 恵太郎5, 市原 周治1, 藤原 義朗4, 宗 淳一1, 大谷 弘樹1, 木浦 勝行4, 青江 啓介6, 谷田部 恭7, 大江 裕一郎2, 光冨 徹哉3, 伊達 洋至8
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 1腫瘍・胸部外科, 4血液・腫瘍・呼吸器内科, 2国立がんセンター中央病院肺内科, 愛知県がんセンター 3中央病院胸部外科, 5研究所疫学予防部, 7中央病院遺伝子病理診断部, 6国立病院機構山陽病院呼吸器科, 8京都大学大学院医学研究科器官外科学講座呼吸器外科

目的.ゲフィチニブ投与患者では上皮成長因子受容体(EGFR)変異例で予後が良いことが報告されている.一方,喫煙,性差はEGFR変異に影響し,さらに,肺癌の予後因子であることが示唆されている.本研究では,EGFR変異,性差,喫煙が,ゲフィチニブ治療を受けた肺腺癌患者の生存期間に与える影響を検討した.対象と方法.ゲフィチニブにより治療された肺腺癌患者362例において,EGFR変異,性差,喫煙が全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)に及ぼす影響を評価した.結果EGFR変異は169例(46.7%)に認めた.多変量解析では,変異例で野生型例に比べOSおよびPFSが有意に長かった(P<0.001).EGFR変異の有無による群別で性差,喫煙量は,OSおよびPFSの延長とは関連がなかった.一方,性別,および,喫煙により分類した群別での解析では,EGFR変異は,OS,PFSの延長と有意な関連を認めた(P<0.001).結論.本検討から,ゲフィチニブ投与を行う患者を選択する際,EGFR変異は重要な指標であると考えられる.
索引用語:上皮成長因子受容体, 肺癌, ゲフィチニブ, 性差, 喫煙

肺癌 49 (4):409─415,2009

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