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第49巻第4号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

原発性非小細胞肺癌におけるWntシグナルとEGFRシグナルの同期的異常

鈴木 実1, 重松 久之2, 中島 崇裕1, 本橋 新一郎1, 関根 康雄1, 渋谷 潔1, 飯笹 俊彦1, 廣島 健三3, 中谷 行雄3, 藤沢 武彦1, 吉野 一郎1
1千葉大学呼吸器外科, 2岡山医療センター胸部外科, 3千葉大学診断病理

目的.非小細胞肺癌においてWntシグナルとEGFRシグナルの異常亢進について包括的に検討した.対象と方法.238例の非小細胞肺癌手術症例でWntシグナル関連遺伝子(sFRP-1,sFRP-2,sFRP-5,Wif-1,Dkk-3)の異常メチル化とEGFR・KRAS変異を調べた.うち91例でβカテニンの免疫組織学的検討を行った.結果.腫瘍特異的なWntシグナル関連遺伝子異常メチル化を高頻度に認めた(13~52%).sFRP-2異常メチル化は女性,非喫煙者,腺癌に高頻度に認めた.Dkk-3異常メチル化は腺癌症例で予後不良因子となった.EGFR変異とβカテニン核内異常集積に相関を認めた.KRAS変異とWntシグナル関連遺伝子異常メチル化に相関を認めた.Wntシグナル関連遺伝子異常メチル化のない症例ではEGFR変異は予後良好因子となった.結論.上記所見はWntシグナルとEGFRシグナルの同期的異常の存在を示唆し,本研究は非小細胞肺癌治療の基礎的データとなることが期待される.
索引用語:肺癌, 異常メチル化, EGFR, Wnt

肺癌 49 (4):416─421,2009

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