タイトル
第49巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺原発傍神経節腫の1切除例

林 雅太郎1, 田中 俊樹1, 上田 和弘1, 田中 伸幸2, 濱野 公一1
山口大学大学院 1器官病態外科学呼吸器外科, 2放射線医学

背景.傍神経節腫(paraganglioma)は,副腎髄質以外の傍神経節組織から発生する神経内分泌腫瘍である.頭頚部・後腹膜・膀胱原発などが多く,肺原発のものは極めて稀である.症例.58歳,女性.甲状腺癌の術前精査中に,左肺上葉S1+2に結節影を指摘された.肺過誤腫が疑われ経過観察されていたが,2年間で腫瘤径のわずかな増大を認めたため,腫瘤摘出術が施行された.術中迅速病理検査では,甲状腺癌の転移とも原発性肺癌とも診断し難い,未分化なcarcinomaとの報告であった.確定診断には永久標本での評価が必要と判断し,手術を終了した.病理学的には核の小さい細胞からなる腫瘤で,神経細線維の介在と広範囲にZellballen patternが認められた.免疫染色では,S-100陽性,synaptophysin陽性,NSE陽性,chromogranin A陽性であった.以上より,肺原発傍神経節腫と診断した.術後経過は良好で,現時点で再発や転移の徴候は認めていない.結語.肺原発傍神経節腫の1切除例を経験した.極めて稀な症例であり,文献的考察を加え報告する.
索引用語:傍神経節腫, 神経内分泌腫瘍, 肺, Zellballen pattern

受付日:2009年2月5日
受理日:2009年3月30日

肺癌 49 (4):467─471,2009

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