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第49巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

進行再発非小細胞肺癌に対する化学療法中止と緩和医療移行の検討

中野 喜久雄1, 益田 武1, 吉田 敬1, 福原 和秀1
1国立病院機構呉医療センター呼吸器科

目的.進行再発非小細胞肺癌に対する化学療法中止と緩和医療移行の問題点を明らかにする.対象と方法.2002年1月から2007年9月までに第一次化学療法を開始後,第二次以上継続し,2008年4月までに死亡した進行再発非小細胞肺癌例.方法は背景因子,化学療法の投与状況,緩和医療への移行状況を後ろ向きに検討した.結果.男性49例,女性12例,年齢中央値は64歳.死亡1ヶ月以内の化学療法継続例は25例,41%だった.プラチナ製剤は第一次で66%使用され,ゲフィチニブはすべての次数で選択された.奏効率は選択次数とともに低下し,最終化学療法(第二次ないし第六次)の奏効率と生存期間中央値は10%と3.0ヶ月だった.化学療法中止理由は死亡1ヶ月以内の化学療法継続例ではPS不良が56%,次いで合併症あるいは副作用の32%だった.死亡1ヶ月以内の継続例では死亡1ヶ月以上前の中止例に比べ,緩和ケア科受診から死亡までの期間が短く(平均22.4日と61.9日),緩和病棟での死亡も有意に少なかった(P=0.0373).結論.非小細胞肺癌に対し毒性の強くて効果が少なくなった化学療法を死亡直前まで施行すると,緩和医療の移行が遅れる.
索引用語:終末期, 化学療法, 緩和医療, 非小細胞肺癌

受付日:2009年1月9日
受理日:2009年4月27日

肺癌 49 (6):836─843,2009

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